内蔵HDDにケースをつけて外付けドライブ化するぜ!~テレビ録画対応編
HDDマスターへの道③
オフィス訪問、HDDのテクノロジー紹介と続きました本連載、今回は実技編(?)ということで、内蔵HDDにケースをつけて、外付けHDDにしていきたいと思います。

これを作っていくぞ!
なぜわざわざ内蔵HDDを外付けに?
わかります。みなさん思ってますよね。外付けHDDが売られてるのに、なぜ内蔵をわざわざ加工するのか。
実はそれにはちゃんとしたメリットがあるんです。
①安く済む
外付けHDDを買うよりも、内蔵HDD+ケースを買った方が安い場合があります。
といっても低容量帯の製品だとケースバイケースかも。安い時も高い時もあります。ただ容量が6TB、8TBとかになってくると、外付けHDDって一気に高価になるんですよね。その点、内蔵ドライブなら比較的容量による価格差が少ないので、大容量なら安く済むことがあります。
まあ容量に関わらず、両方調べて安い方を買えばよいのであれば、選択肢が広がりますよね。
②カスタムする楽しみ、DIYする楽しみがある
個人的にはこれが大きいです。あなた、自宅の外付けドライブにときめいていますか?愛を感じていますか?正直あんまりですよね?
それ、きっと自作してないからです。自作しましょう。作るのも楽しいし、自分で選んだケースで自分で作った外付けドライブ、絶対に愛せます。
ケースのデザインも黒い箱からMacに合いそうなアルミ製、そして透明のものまで、いろいろ選べますよ。
③用途を狙って買える
HDDっていろんな用途のものがあります。ウエスタンデジタル製品でいえば、スタンダードモデルのBlue、ハイパフォーマンスモデルのBlack……などなど。
でも市販されている外付けHDDって中身がわからないから、そこにこだわって買うことができないんですよね。用途に合わせて信頼性の高いものを使いたい、あるいはHDDのポテンシャルをフルに発揮したい!という方は、自作がおすすめなんです。
用意するもの:テレビにも使えるHDDにはWD Purpleがおすすめ!
というわけでせっかくの自作ですので、用途を決めたいと思います。今回の用途は……
テレビ録画!
録画機能つきのテレビにつないで使用するドライブを作っていきます。ウエスタンデジタル製品の中でテレビ録画向きなのは、こちら。

WD Purpleです!
これは監視カメラ用のモデルで、連続書き込みに強い製品です。ディスクの書き込み中にエラーが発生してしまうことってどうしても避けられないのですが、そのエラーを深追いしてリトライしていると、録画中のような書き込み量の多いケースでは渋滞してしまいます。
WD Purpleはあえて深追いしないことで、録画をスムーズに行える製品なのです。これがテレビ録画にも最適なのです。
そして使用するケースはこちら!
今回は玄人志向のものを用意しました。
ケース選びのポイントとしては(テレビ用の場合)
- 接続規格があっているか(今回はUSB Type-A、Cの両対応で安心!)
- ディスクの対応サイズ(今回は3.5インチの内蔵HDDを使用)
- RAIDを使用する場合は対応の有無
- もちろん「テレビ対応」のもの
このあたりを中心にチェックして選ぶと良いでしょう。
RAIDというのは記録を多重化してトラブルに備える仕組みです。テレビ録画用にRAIDを使用するケースは少ないかもしれませんが、推しの出演番組コレクションなど「絶対に消したくない重要な番組用」の場合は検討しても良いかもしれません。
あとは工具類ですね。今回はケースにドライバーが付属していたので、準備不要でした。
必要なのはたったこれだけ!
組み立ててみよう
ではさっそく作っていきます!
ケースのパッケージを開けるとこれだけ入っていました。
左端から時計回りに、ケース本体、USBケーブル(Type-A)、USBケーブル(Type-C)、ドライバーとネジ、ACアダプタ、スタンドです。
ケースは開けるとこんな感じ。左の外装はパッケージの写真を見てプラスチックかと思いきや、しっかりした金属製。丈夫だし放熱的にもよさそうです。こちらは筒状になっており、右の内箱(?)を引き出すと中に基板が入っているのが見えました。
基板。内蔵HDDのコネクタ(SATA端子)をUSBに変換してくれるほか、HDDへの電源供給の役割もしています。
じゃあいよいよ組み立てますね。
まずHDDのコネクタ側が基板の方にくるように向きを合わせて……

いったん置きます。
そして

ガコッ!とコネクタをはめ込みます。しっかりはまって気持ちいい~~~~!
ファミコンやスーファミのカセットを差し込むときのような感覚ですがそれよりも軽く、しかしながらたしかな手ごたえもあり「俺はDIYで機械を組み立てた」という満足感が存分に得られます。
気持ち良すぎて意味なく外したりつけたり繰り返したくなりますが、たぶんコネクタに良くないのでやめましょう。
で、実はこれでもうほとんど終わりなんですよ。あとはねじ止めしてフタ閉めて再度ねじ止めするだけ。
内箱にHDDをまず固定して
外装にスッと差し込み
ふたたびねじ止めしました。
いやもうどこからどう見ても一人前の外付けHDDですわ。
というわけで、ものの3分ほどで完成してしまいました。簡単なのに満足感だけは異様に高い作業でした。これ意味なく毎週末作りたいな……。あー楽しかった。ではまた!
テレビにつないでみよう
作っただけで満足して帰りそうになってしまいました。危ない危ない。
ちゃんと外付けHDDとして動作するか、確認しなければいけません。さっそくテレビにつないでみましょう。
USBケーブルをつないで…
テレビの設定画面を開きました。設定方法はテレビによって違いますので、お持ちの機種のマニュアルを参照してください。
ここでは「USB-HDDの登録」を選ぶと…
おお、ちゃんと検出されました!
そして無事、録画用HDDとして登録が完了。
表示を見ると1871時間27分録れるそうです 。めちゃめちゃ録れるな!!!一生分の録画ができそうです。
※録画時間はテレビの機種によります
※今回使用したケースはテレビの外付ドライブとしておおむね動作しますが、ケースメーカー内のテスト環境にて独自に評価した結果であり、ウエスタンデジタルとして全てのTVでの動作を検証しているわけではありません。
ところで……PCで使うには?
とりあえずテレビにはつながりましたが、PCで使いたい場合だってもちろんあると思います。そっちもせっかくなので試してみましょう。
内蔵HDDを外付け化して使用する場合、Macの場合はUSBポートに挿すとデバイスを自動認識するので、あとは指示通り初期化をすればすぐに使用可能です。
Windowsで使用する場合は手動で初期化してドライブを割り当てる作業が必要ですので、それをご紹介しましょう。

まず作った外付けHDDをつないだだけの状態。認識していません。
ではどうするかというと

Windows ロゴの上でマウスを右クリック、するとメニューが出てくるので、「ディスクの管理」を選びましょう。

この画面が出てきましたか?
ここでは初期化したいディスク(ここでは「ディスク1」)、「GPT」を選び、「OK」を押します。

初期化が終わると「ディスクの初期化」が消えます。「ディスクの管理」ウィンドウに未割り当てのドライブとして表示されますので、右クリックして「新しいシンプルボリューム」を選びます。

「新しいシンプルボリュームウィザード」が表示されます。シンプルボリュームサイズがドライブのサイズです。パーテーションを分けたい(複数ドライブとして使いたい)のでなければ、そのまま「次へ」で大丈夫です。

続いてドライブレターの設定です。これも特にこだわりがなければ「次へ」でかまいません。

最後にファイルシステムの設定。ここでは、ドライブをMacや古いPCと共有する予定がある場合はexFATを選ぶようにしてください。最近のWindowsでしか使用しない場合はNTFSのままでかまいません。
選んだら「次へ」。

これで無事、新しいドライブが認識されました!
ちなみに4TBのHDDを使用しましたが容量は3.63TBと表示されています。これはHDDのスペックとWindowsでは容量のカウント方法が違うためで、不具合やバグではありませんのでご安心ください。
あとは普通の外付けHDDと同じ感覚で使用してOKです。
用途別のおすすめHDD
というわけで、簡単に内蔵HDDを外付け化できることがわかりました。普通にテレビ録画やPCで個人的に使うほか、NASを使って家族で共有して動画や写真を見たりするような使い方もおすすめですよ。
ちなみにテレビ用としてはWD Purpleをおすすめしましたが、別の用途にもそれぞれおすすめの製品があります。
- PC用……WD Blue
- NASに使う……WD Red Plus
- RAIDを組んで使う……WD Red Plus
それぞれ向いている製品があるので、選ぶ時の参考にしてください。
ではまた!
ライター:石川大樹(いしかわだいじゅ)
編集者・ライター、電子工作作家。「しょうゆかけすぎ機」「メガネに指紋をつける機械」などを制作。 「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。趣味はワールドミュージック収集です。
